生活保護での制限-離婚後の生活

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生活保護での制限-離婚後の生活

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何かと批判のある生活保護ですが、ではなぜ生活保護支給額よりも手取り収入が低い人たちは、生活保護を申請しないのでしょうか?

  • ・生活保護制度に対する主義や主張による理由
  • ・生活保護を申請したくても身内に知られるから
  • ・自立した生活を送っていることへの自負
  • ・生活に制限が課せられることについての拒否感
  • ・社会人としての道義的な義務感

理由は、概ねこういったところだと思いますが、恐らく多くの人が誤解している点があります。
それは、生活保護というのは、いってみれば最後の砦となるセーフティネットなので、生活保護以外の手段がない人だけが支給対象であり、生活保護を受けるかどうかを選べる段階にいる人にとっては、不要な制度だということです。
そして、自分にとって不要ともいえる生活保護制度によって、月々でみれば今より裕福な生活を送れるというジレンマこそ、不満の原動力になっていることは間違いありません。

生活保護を受けないと判断する理由として、生活に制限があるということはとても大きいでしょう。
では、生活保護を受けた場合の制限とはどのようなものなのでしょうか?たくさんありますが、概ね以下の通りです。

(1)預貯金を持てない

あたりまえのように、生活保護を受けるからには、預貯金ができるような生活ではありません。
もし、生活保護の受給額からさらに切り詰めてわずかな余裕があっても、それは本来、生活保護を受けるうえで不要とみなされるお金です。
いわゆる「タンス貯金」であれば、発覚するケースは少ないですが、発覚した場合、受給費の減額や停止に繋がります。

(2)借金ができない

生活保護を受けている人に、民間の金融機関がお金を貸すことはないはずですが、生活保護の受給額から借金の返済をすることはできません。
生活保護を受ける前に借金があっても、自己破産などで債務を整理してからでなければ、生活保護を受けられないとされています。

(3)財産を持てない

不動産などはもってのほかですが、いちばん身近な財産としては、やはり車でしょう。特別な事情がある場合を除いて、所有はもちろん、運転すら禁じられています。
これは、首都圏など交通網の発達した一部の地域を除いて、非常に生活に影響がありますので、収入は生活保護を受給できる範囲にあっても、車を理由に拒んでいる人も多いでしょう。
ただ、普及率的にも生活に密着している、例えばテレビのような家電製品は「最低限度の生活」が前提の生活保護であっても認められており、車がどのくらい生活必需品であるかというのがしばしば争点になります。
車が生活に根づいている地域ほど規制が厳しすぎるという声も多くありますので、今後緩和されていくかもしれません。
また、自立のために就職先を探そうとしても、就職においても要普免(普通免許が必要)とされる場合が多く、就職先を制限されてしまうという事態に陥ります。
そのため、普通免許を取得することを条件に就職できるような、確実性のあるケースでは、技能修得費として免許取得の費用が認められることもあります。

(4)保険に入ることができない

全ての保険が認められていないわけではありません。貯蓄型の保険は、保険自体が資産の性質を持つことから、預貯金ができないのと同様に認められませんが、掛け捨て型の少額の保険であれば認められるケースは多いようです。
また、生活保護を受けると、医療費は支給されますので、少なくても医療系の保険は不要になりますし、保険料を支払える能力があるのなら生活費に充てることが優先されます。

(5)健康保険証がなく病院を選べない

生活保護を受けている場合、健康保険証を持てないので、病院で診療を受けるためには担当の福祉事務所から医療券というものを発行してもらいます。
そして、指定医療機関制度というものがあり、緊急の場合を除き、指定医療機関以外での診療を受けることができません。
持病を患っており、なじみの病院があるとしても、指定医療機関でなければ行くことができないのは不便かもしれませんが、生活保護での制限なのであきらめるしかないでしょう。

(6)住める場所に制限がある

生活保護を受けると、家賃についても住宅扶助として支給されます。この住宅扶助には限度額があり、限度額を超えた家賃の部屋に住むことはできません。
生活保護を受ける前に住んでいる場合には、限度額内の住居に引っ越すように指導されますが、引っ越す場合には費用は支給されます。
また、生活保護を受けはじめたあとで、転居する場合であっても、事前に福祉事務所やケースワーカーに相談が必要になります。

(7)経済状況を報告する義務がある

支出が増えて報告しない人はいないと思いますが、収入が増えても受給金額の算出に影響があるので、福祉事務所に届け出なくてはなりません。
これは、定期的な収入だけではなく、たとえば親族が生活費の足しにといってお金を送ってくれたなど、一時的な収入であっても同様です。
報告義務を怠り、不正な受給とみなされると、保護の変更や停止に繋がります。

(8)ケースワーカーの指導に従う義務がある

生活保護は、どうしても生活できない人を保護し、自立を支援することを目的としているので、働く努力をするということも、受給を継続する要件になります。
体が不自由などの特別な事情がない限り、ケースワーカーから指導や助言がありますが、これを無視することはできません。悪質とみなされれば、受給できなくなることも考えられます。

(9)プライバシーを完全には守れない

もちろん、福祉事務所の職員には、職務上の秘密を口外することはありませんが、それであっても知れることは確かです。
例えば、病院で診療を受けた場合には、ケースワーカーはどのような症状でどのような診療を行ったかを知ることができます。
他人には知られたくない病状であっても避けることはできません。
また、定期的にもしくはケースワーカーが必要と判断すれば、家庭訪問があって生活の状況を調査します。
調査を妨害したり、正当な理由がなく拒んだりすると、受給を停止させられる可能性もあるので、立ち入り調査を受け入れなくてはいけません。