法定離婚原因-4.強度の精神病で回復の見込みがない

女性のための離婚知恵袋

法定離婚原因-4.強度の精神病で回復の見込みがない

男性の方はこちらもどうぞ→離婚知恵袋[男性版]

精神病を理由として離婚の判決を得るのは、病気であるために相手に責任が無いことから、ハードルが高く裁判所も簡単には認めてくれません。

まず、強度の精神病とは、精神疾患の中でも意思の疎通が全く取れず、夫婦として生活していくことが著しく困難であるほど症状が重い状態です。

統合失調症で代表されるように、重くなると他の人との会話は成立せず、本人の意思の存在すら疑ってしまうほどに支離滅裂な言動を繰り返すようになるなど、いくら配偶者が必死に助けようとしてもどうにもならないと思われる場合です。

次に、回復の見込みがないという条件ですが、本来、精神疾患は簡単に回復の可否が判断できるものではなく、服用によって落ち着いて普通に会話ができたり、調子に波があって良いときは精神疾患を患っていることがわからない場合すらあります。

治ったと思っても再発もしますし、継続治療を行った後でなければ回復の見込みが無いかどうかは判断ができません。

そういった点で考えると、精神病を理由に離婚請求を行うには、患った当初では認められにくく、継続治療によっても改善が見られないという経過が必要になる可能性が高いという側面も持っています。

更に、病気であっても当然に人間としての尊厳というものが存在します。

離婚後の配偶者を引き受けてくれる存在があり、療養や生活に支障が無いという具体的な方法をきちんと備えていなければ裁判所は離婚請求を認めません。

単に相手が精神病になったから離婚したいというような、病気の配偶者を置き去りにするに等しい、道義的にも問題がある安易な請求ではいけないということですね。

また、離婚という本人の意思が最も重要視されるべき内容について、強度の精神病と判断される病状では本人の意思確認や判断能力を欠いている状態のため、訴訟の相手方とすることができません。

従って、一方的に離婚したい側が提訴することはできず、訴える相手が必要になってきます。

人事訴訟法においては、成年被後見人が訴えの原告又は被告となる場合、成年後見人(成年後見人が当事者なら成年後見監督人)が訴訟の対象となることを認めています。

ですから、強度の精神病を患っている夫に対して離婚請求する場合には、裁判所に成年後見人(あなたが既に成年後見人なら成年後見監督人)を選任してもらい、成年後見人や成年後見監督人を相手方として訴訟を起こすことになります。