離婚慰謝料と税金

慰謝料というのは、離婚だけに限らずどのような場合であっても精神的な苦痛に対する損害賠償金として発生するのが通常です。
ただし、名目が慰謝料であっても、結局は夫婦で築き上げた財産で支払われるのであれば、離婚に伴う財産分与の一部としての現金の贈与と見る考え方もあり、損害賠償金であるなら所得税、財産分与とすれば贈与税が対象です。

いずれの場合であっても離婚時の慰謝料については税金は掛からず、例外的に税金が掛かるのは、社会通念上、慰謝料の額が不適切に高額である場合です。
精神的な苦痛というのは個人によって違いますし、夫婦のあり方もそれぞれなので、金額にして表されるようなものではありませんよね。

ところが、慰謝料にもある種の相場というものがあり、平均的な収入の夫婦で何千万もの慰謝料を請求して裁判を起こしたところで裁判所は支払い命令を出しません。
更には慰謝料の請求を裁判手続きで行うためには、慰謝料の額が大きいほど手数料が高額になるという点を忘れてはならず、夫が支払えそうもない慰謝料を請求したところで、認められないばかりか高額の手数料を取られてしまうだけです。

せいぜい数百万円認められれば良いほうで、経済状況や保有資産によってはほとんど受け取れないこともあるでしょう。
そのような経済状況の夫婦であるにもかかわらず、高額の慰謝料を協議によって一方が受け取ることになれば、税務署は非課税を利用した贈与とみなす可能性があります。