なぜ親権を争うのか?-親権による弊害の例

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なぜ親権を争うのか?-親権による弊害の例

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親権者による親権のない親への制限で、象徴的とも言えるのが面会交流における親権者からの拒絶です。

子供が別れた親に会うのも、別れた親が子に会うのも当然の権利でありながら、親権者による一方的な拒絶によって子供に会わせてもらえないという親が実に多くいます。

別れた相手を子供に会わせることが、本当に子供の不利益になるのであれば当然の行為といえますが、実際にはそうではないでしょう。

まるで、親権を行えない(持たない)側が子供を失ったかのような扱いは、明らかに権利侵害であっても、様々な事情が複雑に絡み合う親子関係においては、親権者の裁量に委ねられている部分が大きくあるのです。

平成24年4月1日に改正された民法では、離婚後の子の監護に関する事項の定めにおいて、「子の利益を最も優先して考慮しなければならない」とされました。

面会交流拒絶のような状況は、共に親であるという平等な立場ではなく、子供を自分のそばに置きながら、別れた相手に対しても自分でコントロールしたいという一種の支配的な欲望の達成や、相手への嫌悪感からくる嫌がらせに近い行動の結果と考えることができます。

子の利益を最も優先して定めるはずの親権者が、いつの間にか親権者自身の心理的な満足感を優先している現状はこれからも続くでしょう。

離婚によって夫婦関係は終了するとしても、親として子供の養育のためにふさわしい者を親権者・監護者として選ぶ前提が、こうして子供の奪い合いであるかのような親権者争いへと変わっていきます。

現状では、子供が親に会いたいという素直な感情が、親権者の都合で抑えつけられていることは、意外と思えるほど重要視されていません。

もう少し時が経てば、子供の感情を無視することさえも、心的な虐待行為と捉えられる時代がくるかもしれず、今は親権者の裁量に委ねているだけで、将来は親権のありかたも変化していく可能性は高いでしょう。

ただし、親権が子の利益を最優先とすることは変わらないでしょうから、現在のように、離婚後の単独親権による子の利益にならない弊害を、除去する方向で動いていくと考えられます。