自庁処理とは?

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自庁処理とは?

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家事事件手続法は、調停事件の管轄について、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所と定めています。

ですから、調停は夫の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てるのが原則です。

しかし、あなたと夫の住所地が離れていると、交通費を使って遠くまで行かなくてはならず、人によっては実現できないほど負担が大きいので、自分が住んでいる地域にある家庭裁判所で調停をしたいと思うこともあるでしょう。

そのようなときは、調停の申立てをした家庭裁判所に、自ら処理をお願いする自庁処理という方法があります。

自庁処理は、管轄ではない家庭裁判所を管轄にするので、家庭裁判所が職権によって決定する性質を持っています。

ですから、自庁処理には申立てが認められておらず、あなたは自庁処理をお願いする(上申すると言います)ことしかできません。

実際には、調停を申し立てる際に、自庁処理上申書を提出します。

また、むやみに自庁処理を許してしまうと、今度は夫が遠隔地に出向かなくてはならず、これは一方的で不公平な扱いになってしまいます。

したがって、自庁処理をする場合は、自庁処理をするだけの相当の理由がなくてはならず、理由が自庁処理をするほどではないと判断されると、夫の住所地を管轄する家庭裁判所に移されてしまいます。

自庁処理が認められる理由としては、あなたが夫の住所地に出向くことが困難で、調停が実質的に行えなくなってしまうような事情があるときです。

例えば、病気などの理由で行くことが困難、交通費や宿泊費の負担が大きすぎて生活できなくなる、お子さんが幼くて連れていくのが難しく、実家に預けるといった対処ができないなどです。

調停を申し立てた家庭裁判所が自庁処理を相当とせずに、夫の住所地を管轄する家庭裁判所に移されてしまった場合は、テレビ会議システムの利用も考えてみましょう。

そもそも夫の住所地ではどうしても調停ができないのなら、家庭裁判所は自庁処理を認めやすいと思われますが、必ず認められるものではないからです。

テレビ会議システムでは、離婚調停の成立はできないと決められていますが、調停成立までは使えますし、テレビ会議システムでは夫と会うことが物理的にあり得ないので、あなたとしても安心できるのではないでしょうか。