扶養控除の重複

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扶養控除の重複

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離婚によって、元夫婦がお互いに養育費を負担していると、扶養控除を申告できる人が2人になってしまい、どちらか一方しか扶養控除は受けられないため重複して申告することが起こりえます。

所得税法施行令によると、いずれの扶養親族とするかは、提出するその年分の申告書に記載されたところによるとされています。
つまり、何か特別な手続きが必要なのではなく、一方が扶養控除を受けるなら、もう一方は受けない(申告しない)というように申告書によって区別すれば良いということです。

ところが、あなたにしても夫にしても、離婚後も養育費を負担しているので、婚姻中に扶養控除を受けていれば当然そのまま扶養控除を受けるものと考えるでしょう。
このようなときには、どちらが扶養控除を受けるか取り決めておくのが良いのですが、離婚をする間柄であればそれも難しいかもしれません。

では、実際に元夫婦の両方が扶養控除等申告書を提出し、申告が重複してしまったときにはどうなるのでしょう?

扶養控除等申告書を提出するタイミングは、元夫婦で異なるでしょうから、どのタイミングで重複が発覚するかは不明です。
一方の勤務先の労務担当者が、もう一方の勤務先に問い合わせるようなことはありえないですからね。
確定申告だとしても、2人同時に確定申告書を出さない限り、税務署が2つの申告書の重複をチェックするなどというのは考えられません。

従って、いずれ重複は発覚し、両方が扶養控除を受けていると、どちらか一方が追徴税を支払うことになります。
このときになって、どちらが扶養控除を受けるか改めて協議すると、確実にトラブルになるでしょう。

どちらも譲らず、どうしても決まらないときには、次のように定められています。
※所得税法施行令219条第2項より条文引用

1.その年において既に一の居住者が申告書等の記載によりその扶養親族としている場合には、当該親族は、当該居住者の扶養親族とする。
 2.前号の規定によつてもいずれの居住者の扶養親族とするかが定められない扶養親族は、居住者のうち総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額又は当該親族がいずれの居住者の扶養親族とするかを判定すべき時における当該合計額の見積額が最も大きい居住者の扶養親族とする。

1は簡単に言えば申告の早い者勝ち、2は簡単に言えば所得の多い者勝ちという意味です。

ですから収入の差に関係なく、双方が養育費を負担し扶養控除を申告できる状況にあれば、先に申告書を出してしまうのが得策です。
ウソのような話ですが、法令でこのように規定されている以上、争いになると扶養控除等申告書を先に出したほうが確実に有利です。