親権停止の審判

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親権停止の審判

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親が親権によって子供の利益を著しく害するような行為が行われている場合には、子供の住所地を管轄する家庭裁判所に、親権停止の審判を申し立てることが可能です。

平成24年から新設された親権停止によって、親権制限の申立数は大きく増えるという結果になりました。

【用意するもの】

・親権停止の審判申立書
・申立人の印鑑(認印可)
・子、事件本人(対象となる親権者)の戸籍謄本(全部事項証明書、子と別戸籍の場合)
・子1名につき収入印紙800円分
・連絡用の切手代

親権停止の審判がされた場合、最高で2年間の間、相手方の親権が停止しますが、既に離婚をして夫の単独親権になっていると、あなたに親権者変更とはならないので注意してください。

親権停止になった理由がなくなれば、(親権停止された)本人または親族の請求により審判を取り消すことで親権は元に戻り、親権停止の間は未成年後見人が法定代理人として代わりを務めることになります。

親権停止という制度は、無期限に親権を奪う親権喪失と違い、期間を定めてその間に子に不利益を与えた親を含め、家庭環境の改善を図ろうとするための制度です。

従って、親権停止の期間が過ぎれば、再度親権を停止させるか、親権を行うことを認めるかという判断をすることになります。

親権停止を申し立てるには、必然的に民法で言うところの「父又は母による親権の行使が困難又は不適当であることにより子の利益を害する」内容を、資料の提出や陳述によって証明する必要があります。

また、親権停止の対象となる親権者だけではなく、子供が15歳以上であれば、家庭裁判所は子供に対しても陳述を聴取しなくてはならないと定められています。

なお、親権喪失と親権停止の違いは、子供に与える不利益の程度の差になりますが、親権喪失の審判において、親権喪失が相当ではないからといって、自動的に親権停止に変更されて決定されるということはありません。

審判は申し立てられた内容について裁判所として容認または却下するものなので、逆に親権喪失の審判申立てが却下されたからといって、親権停止の審判申立てが阻害されるものでもありません。

親権の停止は一時的なものであるため、親権喪失の審判よりも活用機会は多いと言えます。

例えば、医療ネグレクトが明らかになった場合、子供の身体に危険が及んでいるなら、親権を停止させて、必要な治療を受けさせることも可能でしょう。

もっとも、そのような子供への著しい不利益は、親権喪失の事案ともなり得ますが、親権停止の方がハードルは低いので、短期的に必要なら親権停止を考えてみるべきです。