父親が元夫ではない場合-元夫の子から実の夫の子へ

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父親が元夫ではない場合-元夫の子から実の夫の子へ

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嫡出推定という制度は強力で、子供の身分安定という利益に配慮していることから、第三者や母親(子供は生まれたばかりで申し立てをできない)による元夫以外の子であるという主張はできないことになっています。

したがって、嫡出推定を受けて元夫の戸籍に入った子供については、基本的に元夫による嫡出否認によってしか、元夫の子ではないと確定させる手続きができません。

嫡出否認は、元夫以外には申し立てることができないので、元夫に協力を得なければ嫡出推定を覆せないことになります。

そのため、嫡出否認を元夫にしてもらうという方法を、第一に考えるべきです。

しかし、例外として元夫以外の子であることが明白である場合は、母親による親子関係不存在確認の訴えや実の父親に対する認知の訴えを起こすことが可能です。

明白であるとは、例えば懐胎時期に、婚姻状態は破綻していて性的交渉は無かった、元夫が国外で母親と接触の機会が無かった、元夫が収監されていたなどの理由です。

親子関係不存在確認の訴えや実の父親に対する認知の訴えは、調停前置主義により調停からスタートします。

それでも、親子関係不存在確認調停の相手方は元夫ですし、認知調停は実の父親が相手方ですが、申し立てが正当であるかどうかを家庭裁判所が判断するために、元夫からの証言を必要とすることは十分にありえます。

認知調停のみが、元夫と関わらない可能性が高いとはいえ、結局のところ、元夫との関与を完全に避けられないかもしれないと思いましょう。

元夫にしてみれば、嫡出否認または親子関係不存在確認をしないと、子供の扶養義務を負い養育費を負担しなければなりませんし、子供が相続権を持つことになるため、利害関係が発生することから協力を得られる可能性が高いと考えられます。

あなたにどうしても元夫と会いたくない事情がある場合には、家庭裁判所に事情を説明すると、元夫と会わなくても済むように配慮してくれるので相談してみましょう。

元夫が自分の子ではないと認めた場合でも、実の父親が認知しないと、子供は認知されていない非嫡出子、つまり血縁上の父親は存在しても、戸籍上の父親が存在しなくなり不利益を受けます。

ですから、実の父親の認知に関しては、何が何でも得られるようにあなたにも努力が必要です。

嫡出否認、親子関係不存在確認、認知のいずれの調停も、調停で合意が得られても審判がされて終わる調停です。

調停で合意がされないと、裁判(訴訟)で解決を図ることになります。