夫が支払わないとき-夫の勤務先が支払わないときは?
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夫の勤務先が差押命令を受け取ると、差し押さえられた金額については、夫に支払うことが法律上で禁じられるため、普通の会社ならほぼ確実に支払いに応じてくれます。
わざわざ法律違反を犯してでも、従業員の給料を保護する理由はないですし、裁判所からの差押命令を無視するのは、企業としても見過ごせないからです。
しかし、差押命令があっても夫に給料を支払ってしまう会社もないわけではなく、その場合はどうしたら良いのでしょうか?
もう1つ重要なケースは、夫が自ら設立した会社の社長であるときです。
夫は個人、会社は法人なので、夫の支払い義務を会社が肩代わりすることはないですし、あなたが会社の財産を差し押さえることも筋違いなのでできませんが、実態としてワンマン経営なら支払いを受けるのが難しいでしょう。
そこで、夫の勤務先が差し押さえた給料から支払ってくれない場合について解説します。
まず、夫の勤務先が差押命令を無視して夫に給料を支払ってしまった場合ですが、それでもあなたは、夫の勤務先に対して差し押さえた金額を請求できます。
このとき、夫の勤務先は既に給料を支払ってしまったからといって、夫へ請求するようには言えず、夫とあなたに二重で支払わなくてはならないことになります。
ただし、夫の勤務先は既に支払った給料から、夫に対して差し押さえられた金額分を、返すように求めることはできます。
または、将来の給料から天引きする形で、支払ってしまった給料を取り戻そうとするでしょう。
しかしながら、いずれの場合であっても夫と勤務先との関係でしかなく、どのように調整されるとしても、あなたには一切関係ありません。
差し押さえた金額があなたに支払われさえすればよく、支払いがされないときは、夫ではなく勤務先に引き続き請求するだけです。
もし、夫の勤務先が支払い自体を拒むときは、あなたは取立訴訟を起こすことができ、勝訴すれば、今度は夫の勤務先が直接の支払義務者になります。
つまり、夫の勤務先の財産を差し押さえる強制執行ができるようになるのです。
これは、企業として金銭的な問題よりも社会的信用において痛手で、取引相手や融資をしている金融機関などが知れば、信用問題に発展して経営に影響するでしょう。
ですから、夫の勤務先が差押命令を無視することは、何のメリットもありません。