DVと健康保険-DVと認定を受けるために

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DVと健康保険-DVと認定を受けるために

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DVによる怪我で医師の診察を受ける時に、費用負担の問題から健康保険を使いたいと考える人は多いですが、病院によっては、第三者による怪我の場合、保険適用にならないと説明することがあり、そうなると保険による診察・治療を受けられません。
その場合でも、例えば自転車で転んだなどと言えば、診察・治療を受けることは可能で、お金を払えば怪我の状態を記した診断書をもらうこともできます。

自由診療(自費診療)の場合には制限がないので、夫に知られたくない場合には、自由診療を選んで治療を受け診断書も発行してもらいます。
自由診療は負担が大きく、特に怪我の具合についてレントゲンを撮るようなことになれば、相当金額が膨らみますので、保険適用で治療を受けたいと考えるのは当然でしょう。

第三者による怪我の場合、保険の適用で診療を受けるためには、健康保険組合(または全国健康保険協会)に「第三者行為による傷病届」が事前に必要です。
ただし、事前というのは原則で、電話連絡などで第三者による怪我であることを伝えて診療を受けることはできます。
これは、治療費のうち健康保険組合が負担する分を、後から加害者である夫に請求するための手続きです。

本来は、治療費の負担義務は加害者にありますが、加害者から支払いを受けて治療するのでは遅れてしまうため、一旦は健康保険組合で大部分をカバーします。
そして治療が終わると、被害者が支払う治療費の一部と健康保険組合が負担した治療費の大部分は、両方とも加害者に請求されるという流れです。

ところがDVの場合には、加害者である夫に健康保険組合から請求されたくない、治療を受けたことも知られたくないというケースが多く、DVの事実を隠して保険適用の診療を受けることがあります。

このケースでは、病院はDVについて知りませんから、例えば警察が捜査の過程で診察について何か聞いたときにも、DVは把握していないと答えます。
DVを隠して保険適用で治療を受けたからといって、治療した事実も発行してもらった診断書も意味を為さないことにはなりませんが、DVを証明するには少しでも多くの人にアピールしておくのは大切でしょう。
結局のところ、DVによる怪我として一旦は自由診療で治療と診断書の発行を受け、後から損害賠償として費用請求を夫に行ったほうが、流れとしてはスムーズです。

また、病院によって、健康保険組合への連絡を約束することで保険適用で診療を受けられる場合も、最初から何も聞かれず保険適用の場合もあります。
本来、健康保険を使うかどうかは患者側の選択で病院が選ぶものではないため、費用負担が被害者(患者)なのか加害者(または健康保険組合)なのかは関係ないからです。
保険適用で治療を受けたいのなら、そういう病院を探してみるのも1つの方法です。