親権の辞任

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親権の辞任

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あまり知られていませんが、やむを得ない事由があるときは、親権を辞任することもできます。

例外的な親権争いには、どちらも親権を欲しいと思わないケースもあるので、親権を辞任することで、親権者としての責任から逃れようとすることも考えられます。

親権の辞任は、親権の義務も放棄することになり、これは養育される子供にとって重大な出来事です。

したがって、親権の辞任は判断を慎重に行われなければなりませんが、その一方では親権があることで子供に害をもたらす状況も考えられるため、家庭裁判所の許可によって親権を辞することができます。

親権の辞任が認められるために必要な、やむを得ない事由とは、例えば重大な疾病で事実上親権が行えない場合や、長期的な海外渡航、犯罪行為による受刑(服役)で物理的に親権が行えない場合などでしょう。

ただし、現在はインターネットの普及で、世界中のほとんどで通信が可能ですから、婚姻中の共同親権においては相手配偶者への同意をすることできますし、長期の海外渡航を理由に、親権を辞任する例はないのかもしれません。

親権の辞任は子供への影響が大きく、子供が15歳以上であれば、家庭裁判所は許可する前に陳述を聴かなくてはなりません。

家庭裁判所が許可すると、親権喪失の審判を受けたのと同様に、共同親権なら他方の親による単独の親権行使になります。

単独親権の親権者が親権を辞任すると、他方の親が親権者になるのではなく、未成年後見人が選出されます。

なお、親権の辞任を許可する審判がされても、それだけで効力が発生するかどうかは諸説あり、市区町村役場に親権届(親権辞任届)を提出することで、効力が発生するという考え方が通説です。

また、一度親権を辞任しても、親権を辞任した事由がなくなれば、家庭裁判所の許可審判によって、親権を回復することは可能です。

この場合も、市区町村役場に親権届(親権回復届)を提出しなければなりません。