清算的財産分与-退職金・年金
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年金については、別に年金分割制度について詳しく説明しているので、そちらを参考にしてください。
ここでは退職金の財産分与について触れます。
退職金は後払い型の給与としての性質があることと、勤務年数に応じて増加していく性質があるため、婚姻中に在職した期間が退職金の増加に繋がっていると考えられる場合は、財産分与の対象になります。
例えば、勤続5年で婚姻し、その後10年勤務して離婚と同時に合計15年で退職した場合、退職金が150万円なら婚姻中の10年間に相当する100万円が対象になります。
退職金の財産分与で難しいのは、遠い将来に支給されるであろう退職金を、どのように考えるかです。
公務員でもなければ、退職金が必ず支払われる保証はなく、会社が倒産したり転職したり解雇されたりと予想がつきませんし、定年まで働いた場合の金額がわかっていたとしても、定年まで働かなければ意味がありません。
そのため、退職金の財産分与は、近い将来に受け取ることが決まっていて、かつ、金額もわかっているような場合が多くなります。
もしくは、離婚時に退職したと仮定して勤務先に算出してもらい、その金額から婚姻中の期間を対象としても良いでしょう。
不確定な退職金をあてにするよりは、見込みより少なくても金額を決め、受け取る約束をしてしまったほうが断然確実です。
さらに、多くの企業では、退職金を一括ではなく年金としてもらう制度を導入しています。
これでは退職時に夫が受け取る金額は、限りなく少なくなることだって考えられます。
あなたが知らないだけで、実際にはもっと多くの退職金を将来にわたって受け取る可能性だってあるのです。
いっそのこと一時金として固定の金額を決めておいて、退職金の財産分与ではなく、他の財産分与や慰謝料に組み込んでしまうのも1つの手です。
「あなたには退職金があるんだから、貯金の○万円は私がもらうわね。」という交渉です。
とにかく評価するのが難しい退職金なので、受け取れる方法に変更してしまうのがカギだと思いましょう。